INTERVIEW

素材のプラットフォームを創出し
素材の流動性と循環性を最大化

Sotas株式会社
代表取締役社長
吉元 裕樹
素材のプラットフォームを創出し<br>素材の流動性と循環性を最大化
Sotas株式会社は、化学産業の課題を解決するデジタルサービスの提供を通じて、素材のプラットフォームを創出し、サプライチェーン全体を変⾰することを目指す会社です。同社の事業内容と将来展望について、代表取締役社長の吉元裕樹氏にお話を伺いました。(2024年10月2日訪問)
KBIC かわさき新産業創造センターに入居するSotas。
部屋番号の上に飾られた表札は、Sotasの顧客が3Dプリンタで作成したもの。

貴社の事業内容を教えてください。

Sotasは化学産業向けにSaaS(Software as a Service)を展開している会社です。Sotas工程管理、Sotasデータベース、Sotas化学調査という三つのサービスを展開しており、化学産業がそれぞれ個々に抱える課題を解決するサービスを提供しています。また、個別最適から全体最適へと繋がる事業も来年以降ローンチしていきます。

会社の設立経緯を教えてください。

Sotasを設立したのは2022年です。もともと私は化学メーカーに勤めていて、その後に自動車会社、さらにSaaSのスタートアップを経てきました。その中で、私は化学という産業が大好きなのですが、化学業界は製造業の中で自動車の次に大きいにもかかわらず、デジタル化がかなり遅れていると感じました。ということは裏を返せば、自分が自動車とITで得た経験を化学業界に逆輸入するような形で、DXを掛け合わせれば、とんでもなく面白いことが起こるのではないかと考えて会社を立ち上げました。

吉元社長のご経歴と起業にいたった経緯をお聞かせください。

私はもともと理系ですが、実は化学系ではなく建築学科でした。高校生の時から物理と化学は両方とも得意で好きだったのですが、物理の方がやや得意だったということと、やはり目に見てわかりやすいものがいいなと思い、学科として建築を選びました。その後、大学を卒業してから1社目は不動産関係の会社に勤めました。不動産自体は面白かったのですが、不動産というのは特定のエリアに対する幸せを届ける業界です。一方で、例えば商社や造船などグローバルな企業に勤める友人と話すと、社会人3年目で海外出張に行ったり、海外で戦って日本のためにこういうことをやっていきたいというような話を聞くにつれて、自分もグローバルでやっていきたいなという思いが沸々と湧いてきました。そんな思いで転職活動を始めたところ、たまたまDICの求人が出ていてご縁があったというところです。
化学業界に入ってみると、想定していた以上にグローバルでした。DICも海外売上高比率は優に5割を超えて7割ぐらいだと思います。また、商社では担当が明確に地域で分かれていることが多いのですが、化学というのはそもそも採用する人数が少ないので、一人が欧米も担当しアジアも担当するといったことがよくあります。グローバルにやりたい人にとってはすごくチャレンジな環境だったので、私自身としても今までの自分のキャリアの中では一番楽しかったです。
DICでは最初営業だったのですが、140社ぐらいお客様を持っていた時に、大企業のお客様は15%くらいで残りは中小企業様でした。中小企業のお客様は、本当に人と人との関係で注文が取れるようなところがあって、たとえば「吉元君頑張っているから、あとドラム缶二つだったら注文してあげるよ」とか、そういったことの蓄積で、私自身は5年間ずっと営業予算を達成することができました。私にとっては、こうした人と人との触れ合いでこんなに嬉しい感覚になるものだということを教えてもらったのが、実は化学産業でした。一方で、時代の潮流として脱炭素などの変化が色々と来ている中で、こういった中小企業も今のままだとシュリンクしていってしまうのではないかという危機感を感じました。そうした時に、自分がお世話になった化学産業に対して、自分が持っているものを全てぶつけて、少しでも救うことができたらという思いを持ちながら、だんだんと化学産業に対する愛が深まっていきました。
また中小企業だけでなく、DICのような大きな会社でも、メーカーの現場の方が思いを持ってモノを作っているというところが、私はとても好きです。私自身も営業をやっていた時に、何回も製造の人に怒られたことがあります。営業でモノが売れなかったときに「これは廃棄すればいいと思う」みたいなことを言った時に、「お前、作っている人のこと考えろ。そんな簡単に捨てるって言うな」といった具合ですね。そういった、社会人としての礼儀作法もそうですし、ものの考え方というものを工場から学んだというのはすごく思っています。化学業界というのが、メーカーの中でもとりわけ泥臭い業界だけれども、しっかりと社会にインパクトを出している業界で、とても面白いと感じました。
DICの後は日産自動車に移り事業戦略系の部署にいました。シリコンバレーのスタートアップとも話す機会があったのですが、当時、2019年~2020年くらいはシリコンバレーが今よりもさらに勢いがあったころでした。本当に優秀な創業者と話す機会も多い中で、「あ、こういうふうにビジネスを考えているのだ」とか「こういうふうに市場を見ているのだ」と感じることが非常にありました。その時に、自分も化学で起業したいと決めていたのですが、化学業界に置き換えた時にどういうところを狙っていくと大きいことができるかなとそんな着想から起業アイデアを考えていきました。
特に、Ridecellというシリコンバレーで配車のルーティングをやっている会社があり、その創業者を横浜で接待したことがあるのですが、この方は私がこれまで出会った人の中で一番、自分の事業について楽しそうに語る人でした。この人は、万が一Ridecellの事業がうまくいかなくなっても、多分人生に悔いは無いのだろうなというくらい、本当に楽しそうに自分たちの事業について語っていました。私自身も、DICでも日産自動車でも自分の仕事に誇りを持ってやってはいましたが、この笑顔とかこの熱量で語り切れているかなと思うとそうではないなと思って、「やっぱり自分もそっち側に行きたいな」と思いました。それで次の日には日産自動車に辞表を出していました(笑)。その時点では何をやるかも決めていなかったですし、上司からも「いや、ちょっと待ってもいいんじゃないか」と言われたのですが、とにかく一区切りつけて動かなければと思ってそうしました。
辞表を出してから、経営者や投資家の知り合いも何人かいたのでお話をうかがってみました。そうすると、私自身がシステムのことを何もわかっていなかったので、修行のためにシステム会社に行った方がよいのではないかという声が多かったです。いきなりSaaSの会社を作ろうとしてもエンジニアのエの字も分からない状態でやっても絶対にうまくいかないので、一度SaaSの会社でグロースを経験して、願わくは経営層に近しいところで経験した方がいいというヒントをもらえました。それで転職先を探すことにして、将来的にCXOクラスになって経営に近しいところで学べるところ、グローバルでやろうとしているところ、あとは創業者とのフィット感を基準に探しました。またもう一つ重要な点として、ミドル~レーターではなくシード~アーリーの会社に飛び込むとも決めていました。出来上がっている会社に行っても全く意味がないので、自分で起業するような経験がしたいと考えていました。そうしてAcallという会社に、社員が20名いないくらいの、まさに今のSotasくらいのステージで飛び込みました。
Acallに飛び込んでみたら、最初はやはり衝撃の連続でした。まず予算がない、人がいない、なんか何もないみたいな感じでした。SaaSのサの字もわからない中で、最初は本当に苦労しながら、エンジニアの言っている言葉が何もわからないみたいなところから始まって、心の底からコミットしきれた3年ぐらいでした。その結果として、マーケティングマネジャーから、その期間で副社長COOまで任せてもらえるようになったので、すごく良い経験でした。
そうしているうちに、2021年の終わりから2022年の初頭にかけて、環境問題の波が非常に大きくなって、新聞でも毎日脱炭素とかGHGといったワードが飛び交うようになりました。もともと化学業界というのは環境と隣り合わせの産業で、私もそういうところで絶対事業をやりたいと決めていたので、これはいいタイミングだと思いました。またその時に私は35歳だったのですが、周囲の経営者で上場されている方や大きくグロースされている方のお話をうかがうと、やっぱり30代で起業した方がいいと思うと言われました。起業して最初の1~2年はとんでもなく忙しいですし、会社がいつどうなるかわからないという状況の中、死ぬ気で働かなければいけないという時に、脳も含めて体が一番元気な時にやれた方がフル回転できるといったアドバイスを結構いただきました。そういったことから起業すると決めて、Acallの代表に相談して取締役を退任し、会社を設立しました。

事業の基盤となる技術はどのようなものでしょうか?

Sotasの事業基盤となる技術は二つあります。一つ目は、データの持ち方、データプラットフォームのデータ構成です。Sotasとしては、将来的に素材のデータプラットフォームを作っていきたいと考えているわけですが、様々なプロダクトのすべてのデータが、重複はありつつも一意に定まらなくてはなりません。そうした一意に定まるようなデータ構成で、各プロダクトで共通したデータ基盤で動くようにして、プロダクト間のデータ連携をしやすくするようなデータ構成を作っているところが一つ目のポイントです。
二つ目はAIの技術です。現時点ではSotasデータベースとSotas化学調査についてはAIを導入し始めていて、かなりリソースをかけています。化学に関するSaaSに、AI技術を実装性の高い状態で織り込めている会社はなかなか無いので、ここは技術的な優位性になると考えています。具体的なAIの機能ですが、たとえばSotasデータベースについては、年内にリリースする予定ですが、技術資料のAI読み込みを実装します。これはSotasとしても自信があり、お客様からも非常に好評です。化学業界では、技術資料のデータはBoxなどのフォルダで管理していることが多く、言葉を選ばずにいうとPDFファイルをただ保管してあるだけのような状態になっていることがほとんどです。しかしPDFで保存しただけでは、そこから先のデータ利活用はできません。PDFの中の数字を棚卸して、それを簡単に比較できたり、類似の検索ができたりして、初めてデータが活きてくるわけです。そこでSotasとしては「お客様が各社で脈々と集められてきたTDS(Technical Data Sheet、技術データシート)やCOA(Certificate of Analysis、分析証明書)のデータは遊休財産です。その遊休財産をしっかりと財産化するために、AIを活用してデータ化していきませんか」というアプローチをしています。世の中にカタログサイトはたくさんありますが、ただクローラーやスクリーニングでデータを集めても、ノイズが多く正確性も良くないですし、あまり意味はありません。SotasとしてはTDSやCOAに着目しており、こういった資料は少なくとも自社の領域に近しいところしか集めないので、ここをデータ化することがデータ利活用の最初の一歩になると考えています。

どのような市場/アプリケーションをターゲットとされていくのでしょうか?

Sotasとしては、化学業界を変革するために、規模の大きいことをやらなければならないと考えています。化学業界を大きく分ける軸として、静脈/動脈という軸と、研究開発/市場に流通しているものという軸がありますが、その掛け合わせの中では、市場に流通していて、かつ動脈産業のところが一番規模が大きいので、ここを一丁目一番地にしてデータプラットフォームを作れば、業界の変革にもつながる大きいことができると考えています。この流通している動脈産業のデータをしっかり取っていくためには、どのようなサービス構成にしたらいいかを逆算で考えて、Sotasデータベース、Sotas工程管理、Sotas化学調査という三つのサービスを提供しています。
これら三つのサービスは折り重なるように作っていますが、ターゲットはそれぞれ少しずつずれています。例えば、Sotas工程管理は生産計画を組んでいる方、SotasデータベースはR&D、営業、購買の方、Sotas化学調査は品質保証の担当者がメインターゲットです。
最終的にはSotasとしては素材のeコマースをやりたいと思っていますので、購買の方々に使っていただけるようにしたいと考えています。Sotasでは、Sotasデータベースを基盤として、そこにSotas工程管理やSotas化学調査のデータを紐付けています。SotasデータベースにはCAS登録番号も項目として含まれるので、Sotas化学調査に含まれる我々独自の法令データベースと突合させることによって、物性情報とあわせて法規制の情報も全部ここで一覧から見えるようになります。
またSotasデータベースをご利用いただいているお客様から非常に今ご要望が多いのはリサイクル材料、再生材に関するご要望です。この再生材の中では、これまではPCR(ポストコンシューマーリサイクル、市場で使用済みの製品を回収、再生資源化すること)がトレンドだったのですが、ドイツなど欧州でもPIR(ポストインダストリアルリサイクル、市場に出る前の製品製造工程で発生した材料をリサイクル・再利用すること)も活用していこうというトレンドが来ると言われています。そうした中で、Sotas工程管理を提供しているお客様の中には、まだまだリペレットしきれずに産業廃棄物として出している会社が結構いらっしゃいます。ここは非常にもったいないので、この廃材というものをSotasデータベースに載せていけないかということもできてきます。そういった形で各プロダクトの情報を有機的に繋げていこうとしています。
ユーザー企業の規模としては、Sotas工程管理は明確に中小企業が主体になります。よく川中企業と言われますが、ポリマーやモノマーを購入されて、それを変性したり成形加工したりして、付加価値をつけて最終製品にしている企業様です。SotasデータベースとSotas化学調査は、実績からすると大企業が多いですが、中小企業様も十分使っていただける仕様にはなっていますので幅広く使っていただいています。
化学業界では、従業員数が300名以上の大手化学メーカーは650社くらいしかありません。一方で化学品を使う企業は50万社あります。Sotasとしては、川上に位置する大手の化学メーカーをしっかり押さえきることが、営業効率を含めて戦略上とても大切になってきます。そのためSotasとしては、Sotas化学調査とSotasデータベースについて、化学メーカー様を中心にアプローチをかけているところです。私自身もDICの頃に非常に苦労したのですが、化学メーカーでは一つの製品グレードに対して情報が非常に分散していることが多いです。たとえば物性情報しかないとか、化学法例の情報はこちらにあるとか、これをどうにかしたいと考えています。化学メーカー様とアライアンスが組めれば、例えば、あるAという製品を調べたら、それに紐づく物性や成分や法規制情報とか、あるいはSDS(Safety Data Sheet、安全データシート)やTDS、ゆくゆくは該非判定書や非含有証明書、こういったものがSotas上から更新性が高い状態で取り出せるようにしたいです。化学産業にデータを取りたい状況というのは、競合優位性に関わるようなデータを取る状況よりも、日々のオペレーションを回すために取らざるを得ない状況の方が多いと思います。この部分は業界の中で共通化すれば良いものだと考えており、その効率化を進めていきたいと考えています。

事業化に向けて現在どの程度まで進捗されているのでしょうか?

Sotas工程管理は2023年5月、Sotasデータベースは2023年12月、Sotas化学調査は2024年1月にローンチしました。それぞれのサービスについて、導入企業が10社を超えてきました。SotasデータベースとSotas化学調査については、当初の目論見通りのスピードで導入が伸びています。Sotas工程管理については、会社数を急速に伸ばすことは難しいともともとわかっていたのですが、だいたい計画通りです。

Sotasでは浜松市のサポートを受けていらっしゃいますが、どのような経緯か教えていただけますでしょうか

浜松市とのつながりは、もともと弊社のアドバイザーの方から、浜松磐田信用金庫様をご紹介いただいたのが最初です。その方から色々な方をご紹介いただいて、ご紹介いただいたお客様がSotas工程管理にご成約いただいたりもしました。そうした中で、「これだけ浜松で事業を展開しているし、ファンドサポート事業というのがあるよ」ということでご紹介いただいき、応募してみようということになりました。これは、ファンドサポート事業の資金を得るために浜松市に進出したというわけではなくて、浜松市に市場性があると考えての取り組みです。浜松市は日本全体の自治体の中でプラスチックの成形加工企業が二、三番目に多い自治体です。浜松市だけで260社ぐらいありまして、Sotasとしては、Sotas工程管理をしっかり伸ばしていきたいので、ある程度エリアを絞ってガードローラーでやれるようなところを探していました。浜松市に行くと、名古屋も近いので、東海地区全体を見渡して動けるというところもあったので、浜松市に進出しようと意思決定しました。
現在受けているサポートとしては、拠点を構えているイノベーションハブ拠点のFUSEは浜松磐田信用金庫様が運営されておりますし、業務提携させていただいている中でお客様もご紹介いただいたりしています。また浜松市からも、例えばセミナーの企画をご案内いただいたり、浜松商工会議所をご紹介いただいたり、手厚くサポートしていただいています。

~ここから浜松市/産業部/スタートアップ推進課の田中課長、永井主任にお話をうかがいました~

浜松市では、スタートアップに対してどのような支援をされているのでしょうか?

浜松市は、古くからスタートアップのまちでした。ホンダ、ヤマハ、カワイ、スズキ、浜松ホトニクスなど、世界で活躍するスタートアップのまちでした。しかし、ここ数年は廃業率が開業率を上回るなどしており、開業率の向上に向けて取り組んでいかなければならない状況になっています。そうした中で、令和3年に「産業イノベーション都市・はままつ」という構想を策定して、スタートアップ推進課という組織もおいて、スタートアップ支援にも力を入れているところです。スタートアップが集積、成長する環境が整うことで、次々と新たなスタートアップが生まれる好循環、いわゆるエコシステムが確立している都市を目指しています。地域企業の高度な技術とスタートアップとの掛け算によって新たな産業や仕事を生み出そうとしています。スタートアップ支援策としては、ファンドサポート事業を中心に、次世代スタートアップ育成事業やスタートアップ成長支援事業など、起業前からシード、アーリー、ミドル、レイターにわたるシームレスなサポートを行っています。

浜松市ベンチャー企業進出・成長応援サイト HAMACT!!

Sotasに対してはどのような支援をされているのでしょうか?

Sotasは、2023年にHSA(Hamamatsu Startup Accelerator)というアクセラレーションプログラムに参加して、最優秀賞を獲得されました。このプログラムでは、伴走支援ということで、VCや専門家の方がメンターとしてネットワークにつなぎこんでいただくようなサポートをしています。
さらにSotasはファンドサポート事業にも採択されました。ファンドサポート事業は、認定ベンチャーキャピタルの出資額や、認定金融機関の融資額に応じて、最大4000万円を交付させていただく制度です。認定ベンチャーキャピタルは66社、認定金融機関が5社となっており、JMTCキャピタルにも令和2年からお世話になっています。交付対象事業者としてこれまで36社のスタートアップを採択していますが、そのうち26社は浜松市外の事業者となっています。市街の事業者の場合は、浜松市内に事業所を必ず作っていただく必要がありますが、この制度も使って市外から進出していただいています。

ファンドサポート事業

Sotasに対する期待をお聞かせいただけますでしょうか?

Sotasは、Sotas工程管理、Sotasデータベース、Sotas化学調査を展開されていますが、メインターゲットであるプラスチック企業が浜松市には260社ほどあり、市場としても非常に魅力があります。またSotas工程管理についても、スズキやヤマハなどの大企業やTier1、Tier2などに関連する中小企業がたくさんあります。浜松市を足掛かりとして色々なアプローチを進めていただいていますので、浜松モデルをプラットフォームとして実現していただきたいと期待しています。

~Sotas 吉元社長のインタビューに戻ります~

今後の事業展開に向けた展望についてお聞かせください。

Sotasでは、素材プラットフォームを作ることによって、より良い素材の循環や流動性を上げていきたいと考えています。そのためにデジタルの力を活用して、eコマースを作り、もっといい素材を流動させたり循環させたりしていきたいと思っています。今三つのサービスを立ち上げていますが、Sotasデータベースをしっかりとeコマースに近づけていくように、その中でサンプル依頼や見積もり依頼ができるような、交差点ができるようなところまで昇華させていきたいと思っています。さらに、化学業界の方々の閲覧数を伸ばしていくためには、有益な情報をその中に回流させることが大事なので、Sotas工程管理やSotas化学調査の有益な情報とデータ連携をしていくことによって、Sotasデータベースが化学業界の方々にとって有益かつなくてはならないものになるよう、この1~2年で仕上げていきたいと思っています。
その先には、グローバルを見据えながらeコマースをやっていきたいですので、来年には海外展開も進めていきたいと考えています。これは化学業界の強みだと思うのですが、化学メーカーというのはどこもグローバルカンパニーです。Sotas化学調査でいえばそもそも法規制が海外のものにも対応しなければならないので、非常にグローバル展開がしやすい。またSotasデータベースに関しては言語を変えるだけでそれ以外に何もやる必要が無いので非常に海外に持っていきやすいです。かつ、日本の化学メーカー様のモチベーションはやはり海外展開のところで、毎回聞かれるのが「これは海外のユーザーさんはどれだけ見ていますか?」と絶対に聞かれます。国内市場は大手の化学メーカー様も長くやられている一方、海外の方が市場も伸びていてポテンシャルが高い中で、どれだけ海外のお客さんが見ていらっしゃるかというのはすごく気にされているところです。SaaSを運営する中で、市場規模が大きい海外に行けるのであれば行かない手は無いと考えています。
IPOについては5年後を目指しています。Sotasとしては、化学業界にデジタルが根付くような変革をしていきたいですが、変革というからにはある程度一定の規模がないとインパクトがもたらせられません。そのため、ユニコーンではなくデカコーンを目指してやっていきたいと強く思っています。

素材化学関連のメーカーや商社との協業に、どのようなことを期待されますか?

Sotasが取り組んでいる素材プラットフォームというのは、Winner takes allではなくて共存共栄だと思っています。Sotasだけとか、アライアンスを組んだ企業様とだけやるということはSotasとしては考えていません。スタートアップがデジタル化するイコール既存のものを壊して新しい市場を作るというイメージがあると思うのですが、そうではなく今の市場の再定義だと考えています。ですから、商社様ともうまくお付き合いしていきたいし、今の市場をデジタル化して、もっと効率を上げていこうという方向にフォーカスしたいと考えています。そういった考え方に共感してくださる企業様と積極的にアライアンスを組んでいきたいです。化学産業というのは非競争領域の作業とか実務が多すぎるので、それをデジタルの力で極限まで減らせれば、もっと競争領域のところにリソースを割くことができるようになると思っています。「非競争領域については情報公開しても構わない」といった柔軟なお考えをお持ちの化学メーカー様と協業していきたいです。

ウェビナーへの参加も含めて、日本材料技研(JMTC)とのコラボレーションについて、コメントがあればお願いします。

浦田さんには非常によくしていただいています。化学の領域というのは、具体的なご支援をしていただける会社が圧倒的に少ないです。専門性が高すぎて難しい領域だと思うのですが、そうした中で適宜的確なアドバイスをいただき、ビジネスパートナーの企業もご紹介いただけています。Sotasとしては非常にバリューアップをしていただけているという認識です。前回ウェビナーに出させていただいた時から、さらに弊社のビジネスも変わっていますので、今後も同じような機会があれば参加させていただきたいです。それ以外にも色々な企画をされる時には、Sotasのことをうまく活用していただけたら嬉しいなと思っています。

最後に、このインタビューページをご覧になる方に向けて、
メッセージをお願いします。

私自身の思いとして、月並みですが、日本人に生まれてよかったと本当に思っています。こんなに安全で、いろんなものが豊かな国はないと思っています。一方で失われた30年とも言われますが、1990年代と比べると、日本がどんどん衰退しているのは誰の目にも明らかで、人口も減少しているという中で、非常に危機感を感じています。日産自動車にもいましたが、昔は自動車産業というのは「蝶よ花よ」とされてきましたが、今はそれが完全に崩れかけていて、世界の自動車産業の時価総額トップ20に日本企業は3社しか入らなくなってしまいました。そんな中、ネクスト自動車になる産業を作らなければなりませんが、それはマテリアル産業だと思っています。そのマテリアルの中でも、化学がネクスト自動車産業になると思っています。次の日本の基幹産業を作っていきたいといったことにワクワクするような方がいらっしゃれば、Sotasに入社したいとかそういうことではなくても、是非幅広にディスカッションできたら嬉しいなと思います。

Sotas吉元社長(左)とJMTC浦田

PROFILEプロフィール

吉元 裕樹
Sotas株式会社代表取締役社長
DIC株式会社にて事業責任者として新規事業を創出、日産自動車株式会社ではカーシェアサービスの事業統括や他MaaS関連で多数のプロジェクトリーダー、同社のMaaS戦略策定に従事し、Acall株式会社にて、CMOを経て副社長を務める。2022年にSotasを起業し現職。

COMPANY DATA企業情報

法人名
Sotas株式会社
設立
2022年3月
本店所在地
神奈川県川崎市
事業内容
化学業界特化型SaaS事業
ウェブサイト
https://sotas.co.jp/
インタビュー掲載日:2024年11月01日
スタートアップ・ウェビナー > 登壇企業インタビュー > Sotas株式会社